かわいいブログ

フィクションです

かわいいと言われ続けている馬鹿と、かわいいと言われてこなかった馬鹿

 かわいいと言われ続けている友人がいる。彼女がなにかすれば周りはかわいいと叫び、彼女がわがままを言えば周りは彼女の機嫌を損ねないよう必死になる。彼女と行動していると、ああこの子はずっと甘やかされて育ってきたんだろうなと思う。

 そんな彼女が、本当の友達がいないと泣き出したとき、私は心底くだらないと思った。

 本当につらくて、講義中もずっと泣いていたのに誰も声をかけてくれなかった。後から声をかけないほうがいいと思ったと言われたけれど関わるのが面倒だったからに違いない、調子のいいときだけもてはやして、まぁ、それはそれで嬉しいけど。とにかく、うわべだけ優しくするみんなのことが信じられない。優しい人はきらい。

 なにを言っているんだこの女は。いい歳して公共の場で泣くようなやつになんて関わりたくないに決まっているだろ。ヒステリー起こしてるときに声をかけてくる人間こそが本当の友達なのだろうか。お前が機嫌損ねるからこっちは必死で優しくしてたのに。と、彼女が吐く言葉ひとつひとつに心の中で難癖をつけていた。他の連中は静かに彼女を慰めていた。馬鹿げた時間だった。これ以上深入りしたくなかったから、遠回しに今後の催しで私のことをハブにしたいと言われたときも二つ返事で了承した。

 

 これまでの人生でかわいいと言われてこなかったのが私である。私をかわいいと言ってくれるのは母親と恋人と、たまに会う中学時代からの友人くらいだ。その友人たちの中だって在学中に私をかわいいと言ってくれたのは一人程度である。だから私はずっと自分を女として欠陥だと思っていた。最近になってようやく「かわいくない」呪縛から解放されて、かわいいものが好きな自分を受け入れられるようになり、自分のかわいい部分を認めることもできるようになった。

 しかし今日、久しぶりに、周りにかわいいと言われないことが自分の中で引っかかってしまったのだ。人をかわいいと言う人に対して、私だって(その程度なら)かわいいのになんでかわいいって言われないんだろうと思っていらいらした。一度でいいから大学でみんなが言われてるみたいなかわいいを言われてみたい。社交辞令やお世辞のかわいいすら言われない私は一体なんなんだ。私ががんばって作ってきたかわいいはまったくかわいいではないということなのだろうか?